ユウジ:今日は、お散歩をする前に基本的なしつけの方法についてお話ししましょう。

ミヨコ:それはどういったことがありますか?

ユウジ:フードを与える時に、犬がジャンプしても届かない程度の高さにして、フードボールを見せ、おすわりやマテと言いながらおあずけをします。そのうちにもらえないのを悟ると、あきらめておすわりをします。おとなしくなったらフードを与えます。

ミヨコ:フードボールを頭の上にしてマテをさせるのはなぜですか?

ユウジ:頭の上に見せることで、当然上を見ますから、そのままおすわりの姿勢になるはずです。おすわりをした後で与えるということを続けることで、おすわりをしないともらえないと学習します。

ミヨコ:そのあとはどうしますか?

ユウジ:食事を与えるたびにそれを繰り返していると、飼い主がエサをくれるそぶりを見せるとおすわりして待つようになります。それが、ある程度できるようになったら、おすわりをした後にすぐエサを床に置きますが、愛犬が食べる前に「マテ」と言って取り上げてしまいます。取り上げた後でもおすわりをしてじっと待つようであれば与えるようにしましょう。

ミヨコ:少し、かわいそうな気がするのですが。

ユウジ:犬は上下関係が厳格で、ボスが食べないと下のものは食べられません。飼い主がOKしないのに食べてしまうということは、飼い主が愛犬以下の存在ということになってしまい、飼い主の言うことを聞かなくなります。

ミヨコ:飼い主が愛犬より上の存在だと認識させることが大事だということですね。

ユウジ:その通りです。もし愛犬の方がボスになってしまうと、群れを守るために、ちょっとした物音で吠えてみたり、気に入らない場合は飼い主を噛んだりすることまであります。

ミヨコ:愛犬にとって、それが負担になったり、ストレスになったりしませんか?

ユウジ:むしろ、ボスになった方が負担やストレスが多くなると言えます。群れを守るために、四方八方に神経を尖らせなければいけないからです。信頼できるボスの飼い主の下にいれば、自ら吠えたり威嚇したりする必要がないということを悟ります。

ミヨコ:吠え癖の矯正にも期待できるということですね。他にはどういったことを教えるをいいですか?

ユウジ:次に教えるのはハウスでしょうか。フードを与える際に、「ハウス」と言いながらケージに誘導します。おやつを与える際も同様に「ハウス」と言ってハウスの中におやつを入れてやります。ハウスと命令を受けた後にケージに入るとご褒美がもらえるということを認識します。

ミヨコ:ハウスの命令を教えることで、フードを与える時以外にも、何か期待できる効果はありますか?

ユウジ:ハウスの命令は言葉だけでなく、指でその方向を指し示すことです。指示した方向がケージならケージに、クレートならクレートに入るようにしつけます。例えば、寝る時ならケージを指さし、お出かけする際ならクレートを指示します。自分の意思で入るのであって、飼い主に無理やり入れられると思わせないことが大事です。お休みさせるときにケージに誘導するなり、お出かけの際に、クレートに入れるなど、楽に誘導できることでしょう。

ミヨコ:他にも教えなければならないことはあるでしょうか?

ユウジ:覚えていて得をすることは数限りなくあると思います。ですが、どの程度の事まで覚えられるのかは個体差もありますし、飼い主のスキルもあります。ここでその全てをお話しするわけにはいきませんし、信頼のできるペットショップ店員やドッグトレーナーに尋ねると良いでしょう。

ミヨコ:しつけをするのにコツなどはありますか?

ユウジ:我々人間は自分の意思を伝えるのに、ほとんどの場合、言葉で伝えます。ところが犬の場合、言葉でなくボディランゲージで伝えます。尻尾を振ったり、前足をパタパタさせたりがそれです。そういう動物に対して言葉で話しかけるというのは、日本語の分からない外人に日本語でまくし立てるのと同じことです。

ミヨコ:言葉だけでなく、ジェスチャーを交えて伝えるということですね。

ユウジ:子犬の集中力はせいぜい5分程度だとお考えください。長時間のしつけは苦痛になりかねません。朝晩フードを与える時に必ずそれを行えば、1日に2回は必ずしつけを行うことになります。

ミヨコ:色々命令をすることで、犬にとってそれが苦痛になったりしませんか?

ユウジ:犬はそもそも命令を受けることを嫌がりません。ボスの命令を聞き、それを実行することで褒められることで喜びを感じます。命令を受け、それを実行し褒められるといった行動は、ある意味遊びの範疇でしょうね。

ミヨコ:遊ばせながらしつけを覚えてもらえれば、こちらも嬉しいです。

ユウジ:今まで一般家庭ではコマンドを日本語で教えることが多かったのですが、近年は英語で教えることが多くなっているようです。おすわりは「シット」、伏せは「ライダウン」、部屋に戻る「ハウス」、マテは「ステイ」などが有名ですね。散歩などの際に、他人の命令に惑わされないようにするためです。

ミヨコ:コツコツと気長にやってみます。ありがとうございました。